ギョッとするタイトルをつけてしまいましたが。今日の朝、令和初の死刑執行がされたことがニュースで流れました。
このニュースを聞いて真っ先に浮かんだのが、naked ape作の『DOLLS』という漫画。近未来の日本に近い都市を舞台とした、ディストピア・アクション作品(勝手にそう呼んでいる)です。
もくじ
あらすじ
10年前、民衆の反対の声を無視して可決された「Rot法」によって整備された第三東都帝国。仮釈放なしの終身刑が導入されたことによってパンク寸前になった刑務所の縮小を進めるため、被疑者行方不明のままの裁判と死刑判決、および場所を問わない死刑執行がなされるようになった。
その死刑執行を担う特別死刑執行刑務官部隊、通称「特刑」が、心を持たない“人形”と揶揄されることから、この作品タイトルは来ています。
特刑は全47部隊からなり、1部隊は3人編制、完全実力主義で、各部隊に振られた番号がそのま刑務官個人の序列を示し、この作品の中心となる「第1部隊」は任務遂行率100%、「伝説の第1部隊」と呼ばれる――。
設定がチート。超人軍団すごい。
まず、 このお話の主人公、御子柴笑太がマジでチート。養成所を主席で卒業してそのまま最高部隊である第1部隊に所属し5年間その座を譲らない。
かつどうでもいいけど、イケメンかつ高身長で23歳にして実力者ってちょっとやりすぎじゃないです?私のタイプだわ・・・・・・。
というのはおいておいて、良い意味で一迅社らしく、スピード感と大胆なアクションが小気味よい作品だと思っています。ちょっとグロ要素も多いですが、血液を黒ベタ塗りにする、トーンをなるべく用いないnaked ape作品らしく、R15G指定としながらも、極端に見ていて「痛々しい」だとか「エロ・グロ」要素の少ない非常にまとまっている作品です。
死刑制度を考える
さて本題です。
“死刑”という制度が国民にとって非常に近い存在になった『DOLLS』の世界においても、もちろん死刑に反対する人々は多いのですが、「Rot法」が整備された理由の一つである「刑務所がパンク寸前・・・」という実態は、今の日本社会にも通ずるところがあると思います。私としては死刑制度には反対していないのですが、どちらかというと終身刑という制度はもうけた方が良いのではと考えているほうなのですが、その結果終身刑がもうけられ、刑務所がパンクした行く末がこの「Rot法」です。この『DOLLS』のように、一般人の目の前で死刑執行が行われることはこの先もないにしろ、被疑者行方不明のままの裁判・死刑判決は可能性として十分ありえる話なのではないかと思うのです。
この作品の印象的な台詞のひとつとして、法務大臣のことを「ハンコ一つで人を殺せる人」と揶揄するシーンがあります。確かにそれはその通りで、今現在の日本であっても、法務大臣は死刑囚に対し、ハンコ一つで命を奪うことができます。そのペラ1枚の書類が、どれほど重いものなのか。そのハンコが、今度は私達の生活圏にいるかもしれない死刑囚(行方不明のままの死刑判決)に対して向けられるかもしれないし、そのディストピアはそう遠くないものなのかもな、と思ってしまいます。私たちは少し考える必要があるかもしれません。
まとめ
文学作品や漫画作品など、SFものをよく読む私ですが、限りなく現代日本の近未来、に近い舞台をテーマにされると、どうしても「私が生きている間にこの物語のような世界は完成してしまうのではないか」という想像が膨らんでしまいますね。今回の『DOLLS』ももちろんなのですが、アニメ作品として『PSYCHO-PASS』、文学作品でいえば伊藤計劃『ハーモニー』なども同様です。近未来的想像ディストピア、と私はよく呼んでいるのですが、「こうならないでほしい、でもこうなる可能性は十分にある」といったメディア世界が、物語の中にはあふれているんだなと。
そういえば、このテーマは私の卒論だったなぁ。余力もないので今回はここらへんで終わろうと思うのですが、これからも追いたいテーマではあります。良い感じのSF作品、ありましたら教えて下さい。