Departure's borderline

フリーランス編集/ライターのいろいろな興味事

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2019年のNHK「18祭」に救われた24歳の私 -[ALEXANDROS]の「Philosophy」に寄せて

※rockin'on.com 内、「音楽文」にて掲載していただきました。

ongakubun.com

 

NHKの「18祭」という番組がある。1組のアーティストと、1,000人の18歳世代(満17~19歳)が、一夜限りのコラボレーションをするというイベントを、ドキュメンタリー形式で紹介する特別番組だ。

 

今年選ばれたアーティストは、[ALEXANDROS]。私がこよなく愛するバンドである。

 

「18祭」では、選考のために18歳世代から送られた動画をもとに、アーティストが楽曲を制作する。今年の動画のテーマは、『自分だけの「かっこよさ」を本気で表現する』。子どもと大人の狭間をさまよい、苦悩し、それでも挑戦し続ける1,000人の18歳世代から、動画が集まった。

 

そして作られた、「Philosophy」という楽曲。
直訳すれば、「哲学」、になるだろうか。

 

ドロスのファンとして、12月の「18祭」の放送を見て、「Philosophy」を初めて聴いた。

よくわからないけど、テレビ越しの曲を聴いて泣いたのは初めてだった。18歳世代だった私のことを思い出して、ボロボロと泣いた。そのくらい、力強い曲だったのだ。

 

==
何もかもが光って 妬ましく思えた
あの夜 僕はどうしても
笑えずにいたんだよ
マイナスの感情は
マイナスでしかないの?
僕は僕でしかない
==

 

偏差値55くらいの普通の高校の、真ん中よりちょっと上くらいの成績をキープしていた、ごく普通の私。自己紹介をするなら、「こんな普通の私ですが」が必ず前置詞に着くような、そういう生き方をしていた私。

 

ああ、そうだった。自分にはなにもないって思うと、周りが急にスゴいものに感じてしまって、悔しくて、妬ましくて、気が狂いそうだった。

自分にしかない”光るもの”を探したくて、失敗して。結局自分は器用貧乏でしかなくて、なにもかもをソツなく、平均よりちょっと上でこなせる優等生を演じていただけだった。

 

 

==
誰もが束になって 僕をどう批判したって
何事もない顔して ねじふせればいいのさ
マイナスの感情は
マイナスで×ればいいよ
僕は僕でしかない
==

 

いろんなきっかけがあって、夢を見つけた。夢を叶えるために、田舎を出て東京に出たいと打ち明けた時、両親や先生から大反対された。「東京にいくなんて」「地元の普通の大学を出て、普通に就職すればいいのに」。

 

18歳の私はまだ、大人には叶わないのかと諦めそうになったこともあった。自信がなかった私に、大人の否定の言葉は重くのしかかってきた。

それでも私は、夢を諦めきれなかった。批判されてもいいと、初めて親に歯向かい、高校の卒業式の翌日、バッグひとつで家を飛び出した。

 

 

==
何もかもが光って 妬ましいと思ったら
その想い 忘れないで それ以上に光ればいい
マイナスの感情は
マイナスだけじゃないよ
君は君でしかない
==

 

田舎で優等生を演じていた私は、東京で”優等生”というレッテルだけでは生きていけないことを知った。東京に出てきたことを後悔し、”優等生”を演じてきた自分からの脱出方法がわからなくて、夜な夜な渋谷で遊び回ったこともあった。田舎にいた時以上に周りが光って見えて、怖くて、妬ましくて、自分はなにもできないんだと膝を抱えた。

 

 

あの時の私に、「Philosophy」を贈ろう。

「その想い、忘れないで、それ以上に光ればいい」って。

24歳の私は、18歳の時に見つけた夢を叶えるために、少しずつ前進しているよって。

 

「18祭」の放送エンドクレジットで、出演した18歳世代たちが口を揃えて「今日のことは一生忘れないです」と言っていた。一番多感で、子どもでも大人でもない18歳世代。彼らを想ってドロスが描いた楽曲に、心を動かされ、勇気づけられた18歳世代が多かったことは言うまでもない。

 

でも、この曲はもしかしたら、18歳世代だけでなく、「18歳を経験したすべての大人たち」に向けて描かれた、ドロスからのアンセムなのではないだろうか。少なくとも、24歳の私はドロスからの「Philosophy」をそう受け取った。

 

あの放送を見た後、COUNTDOWN JAPAN 19/20で、彼らの生演奏の「Philosophy」を聴いた。

「一緒に歌おう。」

彼らはそう言って、私達と共に「Philosophy」を歌い上げた。

 

ああ、やっぱり、この曲は最高のアンセムだ。

ありがとう。

救われたのは、18歳だけじゃない。

 


[Alexandros] - Philosophy (MV)

 

Philosophy (18祭Mix)

Philosophy (18祭Mix)

  • 発売日: 2020/01/13
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 

今年はナゴドに根尾くんを見に行くってきめた

 

 

2018年、金足旋風とかいう超チート級爆風を抑え付け、優勝してしまった大阪桐蔭高校野球部。決勝戦スタメンのうち、根尾、藤原、柿木、横川の4人がプロ入り。これはすごい。

 

千葉ロッテマリーンズ1位氏名の藤原くんは、2019年1年目から1軍6試合に出場。二安打二打点と、手放しに褒められる成績ではないものの、1軍に出場したという実績があります。

それと比較すると、根尾くんの地味さが少し目立つ。2019年シーズンは9月終わりの2試合出場のみ。2打数ノー安打。まあ高卒1年目ルーキーですし、2軍でしっかりと調整して2020年こそたくさん表舞台に出てきて欲しい。

 

 

今年はね、私はナゴドに根尾くんを見に行きたいんですよ。
なぜなら、根尾くんの登場曲がサカナクションの「モス」になるから。

 

モス

モス

  • provided courtesy of iTunes

 

2019年6月26日放送のCBCラジオ『ドラ魂キング』で、サカナクションのボーカル、山口一郎さんのインタビューを行っています。

「ドラゴンズの公認応援団の方々にお願いしたいです。(中略)根尾の時にこの曲を『根尾っ、根尾っ』てやってほしいなと思うんだけど、どこにお願いしたらいいかわからない。」

 

そんなラジオの放送から半年。

山口一郎、この喜びようである…。

 

私自身、そこまで中日に興味があるわけではなく、ただいつも一緒に野球を見に行ってくれる人が中日ファンってだけなんですが、私のように、こういう直接野球に関わりのない要素がきっかけで「あ、ナゴド行こう!」って思えるファンも、一定数いるんだろうなぁ。

 

登場曲って結構大事だと思うんですよね。

レギュラー選手にとっては、毎回の打席に自分を送り出してくれるテーマソングに。代打要員ならば、その1打席に掛けられる応援歌に。ピッチャーなら自分がマウンドに立つその瞬間を高めてくれる曲に。

 

DeNA山﨑投手や、阪神糸井選手、もう引退されましたが巨人2軍阿部監督など、登場曲が選手とファンをつなぐ1曲になることも少なくありませんね。現地(ホーム球場)応援の魅力はそこなんですよ…。

 

 

さて、2月にはいり、球春到来。野球界隈の皆様は明けましておめでとうございます。今年もいいシーズンにしましょう。

2020年シーズンも私は在京二球団を全力応援します。既に3月からは野球の観戦予定がびっしり。金土日はほぼ球場にいる計算です。職場が神宮球場に近く、自宅が東京ドームに近いおかげで、平日はヤクルト、土日は巨人の応援に勤しむことができます。

 

今年は遠征予定も多く、マツダ以外のセリーグ球場は制覇予定。東京オリンピックのおかげで東京ドーム主催試合も多い今年。むしろありがたいくらいです。

目指せ今年も自分超え!

 

ラジオって。 -スピッツ「ラジオデイズ」

 

 

昔は、おじいちゃんが持っていたラジオチューナーで聴いていたラジオ。今や「radiko」のおかげで、誰もがラジオを聴ける端末を持ち歩き、スマートスピーカーに声を掛ければボタン操作すら不要でラジオを聴ける時代になってしまいました。

 

テレビを持たず、家にいる時間の情報源はほぼラジオの私。朝はアレクサに「おはよう」と声を掛ければNHKニュースが流れるし、通勤時間はもっぱらオールナイトニッポンをタイムフリーで(通勤の往復時間が2時間なので、ゴールデンANNを1本聴ける計算)。家に帰って眠りにつくまでは、音楽チャンネルをひたすら流す日々を送っています。

 

 

2020年4月に開局50周年を迎えるTOKYO FMと、2019年12月に開局50周年を迎えたFM AICHIを初めとするJFN全国38局フルネットで放送されている「Spitz 草野マサムネのロック大陸漫遊記」。タイトルのとおり、スピッツ草野マサムネがメインパーソナリティを務める番組ですが、草野さんの選曲がこれまたいい。次はなにがかかるんだろうとわくわくしながら聴ける番組なのです。

 

トークのなかで草野さんが度々語る、「ラジオ愛」。草野さんのラジオ好きは、かねてより有名な話ではありますが、その想いから生まれた曲「ラジオデイズ」は、TOKYO FM、FM AICHI、FM OH!、FM FUKUOKAの4局合同開局50周年アニバーサリーソングになっています。

 

 

**

ラジオデイズ

ラジオデイズ

  • provided courtesy of iTunes

 

遠い国の音楽 たぶん空も飛べる

ノイズをかき分けて 鼓膜に届かせて

同じこと想ってる 仲間をみつけたよ

(ラジオデイズ)

 

ラジオを聴く人ならば必ず共感できるであろう歌詞には、「草野さんもラジオリスナーなんだ」と、草野さんを身近に感じられる部分も。「たぶん空も飛べる」って、空も飛べるはずに掛けたのかな~とか、「同じこと想ってる仲間をみつけたよ」って、草野さんもおたより送ってたりしたのかな~とか。

 

この歌詞の面白いところは、その歌詞そのままの意味だけで留まらずに、いろんな解釈の仕方ができるところ。

草野さんは幼少期からラジオを聴いていたそうですが、私的解釈としては、前半2行が幼少期~夢を見つけるまでの草野さん。「同じことおもってる~」が、スピッツのメンバーを見つけた草野さん。

 

違うかな。
「ラジオデイズ」は草野さんの夢追い物語みたいにきこえるのは私だけかしら。

 

**

 

この曲でクスッとしたのは間奏部分。ラジオチューニングの「チュインチュイン」って音の後に、草野さんのラジオトークが入ってるんですよ。はっきりとは聞こえないけれど、「ここでリスナーからのお便りを…」「ラジオネーム、夜に咲く…」とか。

もしかしたらこういうの、スピッツの楽曲では初めてなんじゃないかなぁ。今ざっと思い返した限り思い浮かばない。

 

余談ですが私はメールをガンガン送る派。読まれるとやっぱりうれしいじゃないですか。しかもそのメールに対してパーソナリティが突っ込んでくれると余計ね。

 

 

**

 

ちなみに、ちょっと気になってこの楽曲に対するインタビューとかないのかなぁと、音楽雑誌を漁ってみたら、ありました。

 

草野「そうですね、しかも完全にラジオ世代で(笑)。情報源がまずラジオだったところが凄く大きかったので」

草野「だから小学校5年生ぐらいから洋楽とか聴き始めて」

田村「ここまで草野の気持ちがストレートに出る曲ってなかった気がするの」

「MUSICA」2019年11月号

MUSICA(ムジカ) 2019年 11 月号 [雑誌]

MUSICA(ムジカ) 2019年 11 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: FACT
  • 発売日: 2019/10/15
  • メディア: 雑誌
 

 

今は、サブスクやらYouTubeやらで簡単に音楽情報が手に入る時代ですが、草野さんの小学校5年生時の音楽情報源といったら、やっぱりラジオだったんでしょうね。草野さんの音楽の原点がラジオである、それをしたためた曲が「ラジオデイズ」。だからこそ、こんなにもまっすぐな歌詞が曲になった。

 

**

 

あーすてきだなー。

ちなみにスピッツの「見っけ」は、1曲1曲が物語性に富んだいいアルバムだなぁって思いました。2019ベストアルバム10には100%ランクインですね。もう年明けちゃったけど。

 

 

見っけ(通常盤)

見っけ(通常盤)

 

 

[Alexandros]に青春捧げすぎて今日が受け止められない

 

間違いなく、私の青春は[Alexandros]に染まっていました。

初めてその音楽を聴いたのは中学2年生の頃。たまたま入ったCDショップの視聴コーナーで[Champagne]の1stシングル「city」を聴いたことでした。そのリアルタイムでは、「ふうん、かっこいいけど」程度に思い、ハマることはありませんでした。

 

ここは何処ですか 私は誰ですか
(city)

 


[Alexandros] - city (MV)

 

city

city

 

 

そんな、若者の苦悩(私も超若者でしたが)を歌った曲に、少しだけ後ろ髪を引かれていたのかもしれません。彼らの音楽との再会は、その3年後に訪れます。

 

 

2013年、[Champagne]4枚目のアルバム「Me No Do Karate.」発売。

高校生になった私が、前と同じCDショップの視聴コーナーで見つけたこのアルバム。「久しぶり」と声を掛けられている気がして、視聴マシンに手をかけました。

 

彷徨って 途方に暮れたって
また明日には 新しい方角へ
この場所で この乱れた時代で
傷付きながら その欲望を守り抜いていく
(Starrrrrrr)

 


[Alexandros] / starrrrrrr feat. GEROCK

 

Me No Do Karate.【初回限定盤】

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衝撃。衝撃でしかなかったんです。

頭から電気を流されたみたいに、ぐわーっと胸の奥からこみ上げる衝撃。

3年前、同じ場所で「city」を聴いたときとは全く違う衝撃。

 

私は一目散に、そのアルバムを手にとってレジに走り出していました。聴かなきゃ。この音楽は私になにかを訴えている。そんな、フィクションみたいな衝撃でした。

 

家に帰り、父の持っていたちょっとお値段の張るヘッドフォンで、爆音で「Me No Do Karate.」を聴きました。

「Rise」「Stimulator」という攻撃的な、まるで俺らが勝者だと頭を抑え付けるような曲。私を呼び寄せてくれた「Starrrrrrr」。歌舞伎町で大げんかでもしたくなる「Kick & Spin」。アコースティックなギターが印象的な「涙がこぼれそう」。ツアーバンドとサラリーマンという対照的なものを描いた「Travel」「Wannna Get Out」。

 

まだまだありますが、その全ての曲が私に襲いかかってきて、喧嘩腰に「俺たちが[Champagne]だ」と訴えてきているような気がして。私はこの音楽が好きだと、私はこのバンドが好きだと確信するのはあまりにもたやすいものだったのです。

 

 

 

私は[Champagne]のファンになりました。

 

彼らはすごく身勝手で、ワガママで、超自信家で、私の想像の範囲に留まってはくれません。だからこそ、私は彼らについていきました。彼らについていけば、私の知らない世界を見せてくれると、信じて疑わなかったからです。

 

私が初めて行ったライブは、「We Don't Learn Anything Tour 2013-2014」、2013年11月14日、Zepp Tokyo。高校をサボって、電車で2時間かけてライブハウスに行きました。すぐそこに彼らを感じ、嬉しくなり、必死に右手を天に突きだし踊り、歌う。それが楽しくて。私は彼らのことをもっともっと好きになっていきました。

 

彼らの魅力にハマりにハマった私。そして程なく耳に入ってきた[Champagne]というバンド名を変更するという衝撃的なニュース。新しいバンド名は、彼ら初の武道館公演で発表するといいます。なんとかして2014年3月28日の日本武道館公演のチケットを手に入れることに成功した私は、その日、[Champagne]として最後のライブをこの目で見届けました。

 

そして、アンコール。

「はじめまして、 [Alexandros]です!」

 

おなじみの「Burger Queen」をバックに、そう高らかにシャウトした川上洋平

震えました。

彼らが大切にしてきた[Champagne]は、終わったんじゃない。進化したんだ。そう思える、力強い自己紹介だったからです。

 

[Alexandros]として初めて歌った新曲、「Droshky!」。続く「For Freedom」「Forever Young」「Don’t Fuck With Yoohei Kawakami」に、新たな可能性を感じたのでした。

 

 

 

私は[Alexandros]のファンになりました。

 

彼らはすごく身勝手で、ワガママで、超自信家で、私の想像の範囲に留まってはくれません。だからこそ、私は彼らについていきました。彼らについていけば、私の知らない世界を見せてくれると、信じて疑わなかったし、実際に見せてくれていたからです。

 

彼らは、どんどん大きくなっていきました。

キラーチューン「ワタリドリ」を手に入れた彼らは、タイアップ起用やメディア出演を次々とこなし、音楽フェスでは一番大きなステージのトリを務めることも珍しくなくなってきました。

 

ワタリドリのようにいつか 舞い戻るよ
(ワタリドリ)

 


[Alexandros] - ワタリドリ (MV)

 

そんな言葉を紡ぐ彼らの姿は、高校生の時に私が見ていたよりも遥かに遠く、小さくなりました。舞い戻ることなどなく、どんどん遠く、大きく羽ばたいていました。

そんな彼らを見て、嬉しくもあり、寂しくもあり。それでも私は、彼らに着いていきたいと思いました。

 

 

「EXIST!」「Sleepless Brooklyn」を経て、彼らは日本のロック界に、確固たる地位を築き上げます。昔はロッキンのDJブースで私達を踊らせていたんだよ、なんて話を信じてくれるようなファンも少なくなりました。

 

EXIST!(通常盤)

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  • アーティスト:[Alexandros]
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/11/09
  • メディア: CD
 
Sleepless in Brooklyn(通常盤)

Sleepless in Brooklyn(通常盤)

 

 

 

私にとっては一曲一曲が宝物で。
彼らを追い続けることが生活の一部になりすぎていました。

 

 

 

ある日突然入った、「庄村聡泰、活動休止のお知らせ」。すぐに帰ってきてくれる、そう信じていたファンたちの期待とは裏腹に、サトヤスの病気は重いものだったようです。

 

半年間の休養を経てサトヤス復活の嬉しいニュースが入ります。2019年6月16日さいたまスーパーアリーナで行われた「Sleepless in Japan Tourファイナル」。もちろん、現地に見に行きました。彼が元気に花道を歩き、ツーバスを踏み、高々と掲げられたクラッシュを殴る姿を見て、「ああ、大丈夫だ、もう帰ってきてくれる」。そう思っていました。

 

まさかその姿が、私の見る最後のドラマーとしての姿になろうとは。

 

 

 

2020年1月24日正午。
彼らのSNSアカウントが一斉に伝えた、「ドラムス庄村聡泰についてのご報告」。

 

サトヤスらしからぬ、少しマジメな文章には、もう彼がドラマーとしての人生を終えかけていることが記されていました。

 

どうしても演奏家ではない人生についての考えを無視できなくなってしまい、また、その気持ちが日増しに大きくなってきてしまい、ひいてはこの症状も自分の一部として受け入れた上で生きていきたいと思う様になりました。

 

そう思うに至るまで、どれほどの苦悩があったことか。

才能に恵まれ、多くのドラマーのお手本となったサトヤス。

不本意な自分の未来に、死よりも苦しい地獄を見たことでしょう。

10周年を、つい先日迎えたばかりの[Alexandros]には、残酷すぎるニュース。

 

自分に背中を預けてくれた、洋平。
あなた越しに広がる景色は、いつも本当に美しかったです。

 

そう、絶対的フロントマンに向けたサトヤスのコメント。「美しかった」と、綴られた言葉が過去形になっていることに、絶望を感じざるを得ませんでした。

 

ファンとして、受け止めなければいけません。

[Alexandros]は、4人で1つ。その形を大きく変えようとしている彼らを、受け止めなければいけません。

あえて、「引退」「脱退」ではなく、「勇退」という言葉を使ってくれた彼らは、サトヤスを含め、きっと次のステージを見据えています。

 

ありがとうサトヤス。本当にお疲れ様でした。

あなたたちがくれた音楽に、私は何度も救われました。

洋平、ヒロ、まーくん、サトヤスっていう4人じゃなくなる事実、いつかちゃんと受けとめてみせるよ。

 

ワタリドリのようにいつか 舞い戻るよ
ありもしないストーリーを 描いてみせるよ
(ワタリドリ)

 

もしかしたらワタリドリはサトヤスだったのかもしれないね。いつか、違う形で舞い戻ってくるサトヤスを、ありもしないストーリーを描いてくれるサトヤスを、私はずっと待ってようと思うよ。

 

でも、今日はちょっと無理かな。

今日は4人の[Alexandros]を聴いて思いっきり泣く日にしてやろう。

 

大丈夫 大丈夫
笑ってくれる
君に会いに行こう
(涙がこぼれそう)

 


[Alexandros] - 涙がこぼれそう (MV)

ぜんぶイイ楽曲、が詰まったアルバムはアリなのか -King Gnu 3rdアルバム「CEREMONY」

 

正直全部イイです。

「開会式」というタイトルがつけられたインスト曲、タイアップ曲4つ、内キラーシングル「白日」。「幕間」を挟んで「飛行艇」から始まるタイアップ曲3つと2つのバラード。そして常田さん渾身のチェロが呻る「閉会式」…。

 

全部、全部イイ。1つ1つを取り出してみたら、全部最高なんです。

ただ、私はこのアルバムに対して物語を感じられなかった。そういうお話です。

 

 

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発売日。もちろん朝イチで「CEREMONY」を聞きました。

 

「開会式」と名付けられたその鋭いインスト曲は、何かの始まりを連想させるワクワクが詰まっていて、音もキラキラと輝いていて。「ああいい曲だ」と思いました。

 

前奏ナシにツーボーカルから始まる「どろん」。c-mollの暗さと常田さんの低音、井口さんの高音がしっかりと活かされた、ドレミファソ、というスケールを用いたサビはさすが。

 

続く「Teenager Forever」。見た目はちょっと老けてるけど、まだ20代後半という彼らの若さがしっかりと入れ込まれ、数年温められた曲をここで解放できることのよろこびを感じられる1曲。「ユーモア」は優しく、たなびくようなピアノが印象的です。

 


King Gnu - Teenager Forever

 

そして、彼らの代表曲かつ、最大のキラーシングル「白日」。言うことがない。

 


King Gnu - 白日

 

「幕間」を挟んで、これもずっしりと低音が鳴り響く「飛行艇」。リズム隊の正確かつ重さを残しながら掴めそうで掴めない音作りには脱帽。

 


King Gnu - 飛行艇

 

「小さな惑星」「Overflow」「傘」と”彼ららしい”曲が並び、常田さんの1人ボーカル曲である「壇上」。井口さんがANNで話していましたが、「King Gnuが解散したときのことを想像して描いた」とのこと。リリックの言葉選びももちろんですが、常田さんの声と静かなストリングスが相まって、非常に良い一曲。そして常田さんのチェロ、「閉会式」…。

 

 

そう、全てが最高なんです。全てが「最高の曲」なんです。でも「最高のアルバム」ではないのかなと思いました。

 

捨て曲など1曲もない。

だからこそ、1曲1曲がそこで完結してしまっていて、King Gnuのベストアルバムなんじゃないかと錯覚してしまうような感覚で。私としては、もっと彼らのストーリー性を感じたかったと思うし、彼らならできる、いや前はできていたのでは、と思ってしまうのです。

 

 

それにしても、果てしなく褒め言葉しか浮かばない1枚。

喩えるならば、ジグソーパズル。

このアルバムは、全てのピースがハマったジグソーパズルなのに、そのジグソーパズルには絵がないんです。絵がないということは、それだけ完成させるのは難しいはずなのに、完成品はなにか物足りなさを感じさせる。観る者、聴く者にストーリーを欲させる。

 

もしかして、この「CEREMONY」というアルバムはKing Gnuの策略なんじゃないだろうかと思ってしまいます。次、これを果てしなく上回る、壮大な物語が真っ逆さまに落ちてくるんじゃないだろうか、って。

 

期待を良い意味で裏切り続けたKing Gnu、最高のストーリーはまだおあずけってか。最後までカッコイイなー(あくまで私的な憶測)。

2010年代私的ベストアルバム25

もう年は明けてるので、まあこのタイトルはノリ遅れたっていうことにはなるんですが、私の生活の軸である野球のオフシーズンは、どうしてももう一つの軸である音楽に傾倒してしまうわけです。

この時期になると、毎年のように「さあライブにいくぞー!」と意気込み、そしてこの時期取れるチケットって3~5月が多いので、野球の開幕にカブるっていう。考えようね…。

 

まあそれはおいといて、2010年代の個人的なベストアルバムです。邦楽メインでロックもアニソンもなんでもアリ、ただし1アーティストにつき1作品まで。以下完全に順不同。

 

 

Me No Do Karate/[Champagne] 2013
Me No Do Karate.【通常盤】

Me No Do Karate.【通常盤】

 

間違いなく、私とドロスを結びつけたそのアルバム。間違いなく、私を青山学院にブチこんだそのアルバム。バンド名は変わったけど、このアルバムをきっかけに私は人生を変えられたと言っても良い。StarrrrrrrとForever Youngに何度助けられたことか。

ベストソング:Starrrrrrr

 

 

daydream/Aimer 2016 
daydream

daydream

  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

Aimerの声っていうのはマジモンのヤベエ声(語彙力)なので、このアルバムは結構衝撃的。EGOIST、アベマ、RADとのコラボが並ぶアルバム。どう考えても、他の人の声や楽曲とは混ざらなそうなのに、うまく調和しているところがとても好き。

ベストソング:Stars in the rain

 

 

RAY/BUMP OF CHICKEN 2014
ray

ray

  • アーティスト:BUMP OF CHICKEN
  • 出版社/メーカー: TOY'S FACTORY
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 バンプに染められたのは実は結構最近で、このアルバムがきっかけ。いわゆるバンプキラキラ音楽移行期なんだけど、わたしはこの音作りが結構すきで、今でもバンプにハマっている。表題曲であるRAYももちろんだけど、やっぱり個人的にはFF零式のゼロですね。

ベストソング:ゼロ

 

 

Extra terrestrial Biological Entities/EGOIST 2012
Extra terrestrial Biological Entities

Extra terrestrial Biological Entities

  • アーティスト:EGOIST
  • 出版社/メーカー: SMR
  • 発売日: 2012/09/19
  • メディア: CD
 

アニメ「ギルティクラウン」という、今後も二度と私の中で変わることのないであろう最高の作品から生まれたEGOISTというアーティスト/楪いのりは、作品の中で死ぬ(盛大なネタバレ)。けど、今でも音楽で生きている。このブログの名前は、この曲からいただきました。

ベストソング:Departures~あなたにおくるアイの歌~

 

 

Magic Number/go!go!vanillas 2014
Magic Number

Magic Number

  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

まってバニラのこれって2014年なの…?結構最近だと思ってたのに。超明るいポップな曲にくっそダークな歌詞をのっけるバニラ代表アルバム。エマのPV見ながら大学でめっちゃ踊ってたなぁ。今でもDJブースでエマが流れるたびに完コピで踊れます。

ベストソング:サマータイムブルー

 

 

EVOLUTION/EVO+ 2016
EVOLUTION

EVOLUTION

  • アーティスト:EVO+
  • 出版社/メーカー: エグジットチューンズ
  • 発売日: 2016/02/03
  • メディア: CD
 

もう声が良すぎる。少しハスキーがかった声とどんな曲でも歌いこなす技術が最強。カバーが多いのだけど、大体これVOCALOID系の曲で。つまり機械のために作った曲=くっそ歌いづらい。なのにここまで歌い上げるか。最強。

ベストソング:エンゼルフィッシュ

 

 

NO SLEEP TILL TOKYO/MIYAVI 2019
NO SLEEP TILL TOKYO(通常盤)

NO SLEEP TILL TOKYO(通常盤)

  • アーティスト:MIYAVI
  • 出版社/メーカー: Universal Music =music=
  • 発売日: 2019/07/24
  • メディア: CD
 

最近のアルバムだけど、カッコイイ以外の感想出てくる?全部かっこいいんだもん。疾走感のあるギターラインとハイトーンボイスはさすがとしか言いようがない。このアルバム全部エモいって。

ベストソング:No Sleep Till Tokyo

 

 

Travelar/Official髭男dism 2019 
Traveler[通常盤]

Traveler[通常盤]

 

これも去年のアルバムだけど、これは絶対に入れなきゃでしょう。捨て曲が一切ないっていう他のブログと同意見。捨て曲がない。Pretenderは国民的に愛される名曲となったけど、私的にはやっぱり宿命が好きですねー熱闘甲子園

ベストソング:宿命

 

 

REVOLT/Nothing’s Carved In Stone 2013
REVOLT

REVOLT

 

ナシスのゴリゴリ響かせるロックは、いつ聴いてもシビれる。特にこれはOut of Controlという最強シングルを真ん中に持ってきているアルバム。地元の小さなライブハウスによく来てくれていたので、高校生時代から聴いてたけど、最近はフェスにも来てくれるようになって超うれしい。

ベストソング:きらめきの花

 

 

メジャー/SANABAGUN. 2015
メジャー

メジャー

 

えー、すみません。サナバ、2か月前に知りました。でも激ハマりしました。ここまで急激に引き込まれたのは初めてレベルです。個々の演奏レベルが高すぎる。この後3月にライブに行きます。ぼっち参戦ですけど、絶対踊らせてくれよな!!!

ベストソング:居酒屋JAZZ

 

 

drama/[.que] 2013
drama

drama

  • アーティスト:[.que]
  • 出版社/メーカー: Schole
  • 発売日: 2013/05/11
  • メディア: CD
 

インスト作品から一つ。映像音楽作家のキューさん。またの名をカキモトナオさん。澄み渡ったピアノが大好きです。全てが澄んでいて、美しくて、そして壊れそうな一つ一つの音が、ここまで大切に響いているインスト作品が、今まであっただろうか。

ベストソング:drops

 

 

UnChild/SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer 2014
UnChild 【通常盤】

UnChild 【通常盤】

 

日本は澤野弘之という最高の作曲家が存在することをもっと慶ぶべきである。そのくらい最強の作曲家だと思う。ゲストボーカルにAimerを迎えて作られたこのアルバムは、力強いボーカルに力強いインストが重なってさらに力強いのである。爆音で聴け、って感じ。

ベストソング:But still...

 

 

sakanaction/サカナクション 2013
sakanaction (通常盤)

sakanaction (通常盤)

 

私がサカナクションと出会ったのは、なんかの音楽番組でアルクアラウンドのPVが紹介されてたことなんだけど、その頃はあんまりハマらなくて、このアルバムで完全にハマった。INORIのダンスチューンで始まり、朝の歌で終わる。つまりこれは、深夜のアルバムなのだ。

ベストソング:INORI

 

 

Fruits Decaying/ぼくのりりっくのぼうよみ 2017
Fruits Decaying (初回限定盤B)(CD+CD+DVD)

Fruits Decaying (初回限定盤B)(CD+CD+DVD)

 

天才。そうとしか言い表せない。彼の葬式に行ったんですよ(葬式というLIVEタイトル)。最高でしたね、天才と称賛された20歳が、壊れ、崩れ、終わっていく瞬間を見られた気がしました。それにしても最高の才能。遺してくれたアルバムを大事に聴くしかない。

ベストソング:たのしいせいかつ

 

 

amp-reflection/SCHOOL FOOD PUNISHMENT 2010
amp-reflection(初回生産限定盤)(DVD付)

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アニメ「東のエデン」がきっかけで、futuristic imaginationを何回も繰り返しきいた。なんだよ、耳を澄ますための夜って。最強にエモくてかっこいい。彼女らの曲は夜を歌うことが多いのだけど、その中で04:59という朝を歌う曲がある。眠れない夜の終わりに、これを聴いて、何度私は救われたのだろうと。

ベストソング:04:59

 

 

ZIGAEXPERIENTIA/supercell 2013
ZIGAEXPERIENTIA

ZIGAEXPERIENTIA

  • アーティスト:supercell
  • 出版社/メーカー: SMR
  • 発売日: 2013/11/27
  • メディア: CD
 

Today is Beautiful Dayとどっちを出すか迷って、こちらに。やっぱり私がギルティクラウンから受けた影響は大きくて、告白と僕らのあしあとMy Dearestは何度聞いても泣いてしまう。力強いボーカリストこゑだちゃんの声も相まって、とてもよくまとめられた1枚。

ベストソング:僕らのあしあと

 

 

You Can Dance/東京塩麹 2018
You Can Dance

You Can Dance

  • アーティスト:東京塩麹
  • 出版社/メーカー: dim up
  • 発売日: 2018/10/10
  • メディア: CD
 

いやとりあえず聴いてない人人生マジで損してるから聞いて欲しい。彼らの音楽には方向性なんてまるでなくて、その曲その曲を全てカッコイイものに仕上げてくれているなって感じる。ちなみにこのアルバムに感動しすぎて、私は浦安のワンルームで踊って壁ドンされた。

ベストソング:FIGHT CLUB

 

 

Fantome/宇多田ヒカル 2016 
Fantôme

Fantôme

 

ヒッキーおかえり、と言いたくなるこのアルバム。私が人生で初めて買ったCDは宇多田ヒカルなんですけど、全てを一回り二回り超えてくるヒッキーには毎度驚かされる。このアルバムを手にとった胸の高鳴りは、あの時のワクワクと似ていた気がする。

ベストソング:花束を君に

 

 

evergreen/秦 基博 2014
evergreen(初回生産限定盤)

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秦基博のLIVEシーンももりだくさんなこのアルバム。彼の歌唱力がどれほど高いかを実感できる1枚になっていて、とても好きである。その中でもREC作品のGirl。父親がこれをカーステレオで聴いていて、泣いていたときはちょっと嬉しかった。

ベストソング:Girl

 

 

YELLOW DANCER/星野 源 2015
YELLOW DANCER (通常盤)

YELLOW DANCER (通常盤)

 

SAKEROCK解散後の源さんアルバム。そんでもって星野源のANNが直後に始まったアルバム。いろんな思いが詰まっていると思うんだけど、1曲1曲が丁寧だなっていうのが感想。あまり知名度ないけど、口づけとかDown Townとか超名曲だぞ。

ベストソング:Down Town

 

 

FOLK/ハンバート ハンバート 2016
FOLK(通常盤)

FOLK(通常盤)

 

この夫婦はどこまで素敵なんだ。まったく声質の違う二人が合わさることで生まれる不思議なハーモニーが奏でるこの作品。12曲中12曲、間違いなく幸せを感じられる楽曲だと思う。おなじ話が最後から3番目に入っているのもベスポジ。

ベストソング:おなじ話

 

 

THE KIDS/Suchmos 2017
THE KIDS(DVD付)

THE KIDS(DVD付)

 

彼らの代表曲STAY TUNEはもちろんとして、全てにハズレがないサチモスの一枚。これを聴いて、2017年のロッキンはサチモスで踊ったんだった。っていうかこのアルバムだけでフェスは生きていけるから、ステイチューン超える爆弾落として。

ベストソング:STAY TUNE

 

 

i’mperfect/凛として時雨 2013
i'mperfect

i'mperfect

  • アーティスト:凛として時雨
  • 出版社/メーカー: SMAR
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: CD
 

私は完璧、そういうタイトルを載せちゃう時雨、大好きだ。時雨は音でいうとマイナー(短調)の曲が多いのだけど、このアルバムはそれを詰めて詰めて詰め込んだ作品。暗く沈む曲中に、TKのロケット花火みたいな声が頭上を駆け巡る、爽快っすよ…。

ベストソング:キミトオク

 

 

欲望/東京スカパラダイスオーケストラ 2012
欲望

欲望

 

スカパラは、メンバーチェンジをいくら経ても最高なんだけど、2010年代ベストといえばやっぱりこれでしょう。全編一発撮りの13曲。ゲストボーカルも豪華だけれど、やっぱり熱がこもっているのをひしひしと感じるのはこの一枚なんだよなぁ。

ベストソング:修行

 

 

CALL/Skirt 2016
CALL

CALL

 

自分の音楽を見る目を変えてくれたっていう点で、スカートでしょうかね。スカートと出会う前って、いわゆる「テレビ映えする歌手」が好きだったんですよ。スカートはそうじゃない。なんなら公園でアコギ携えて歌ってそうなあんちゃん。そういう人に出会えてよかったとヒシヒシ感じるよね。あれ、アルバム紹介じゃなくて人物紹介になってもーた。

ベストソング:ストーリーテラーになりたい