Departure's borderline

フリーランス編集/ライターのいろいろな興味事

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第91回選抜高校野球を見ながら

第91回選抜高校野球が始まりましたね。

もちろん今年も、仕事中はラジオ(自由業なので何をしてもOK)、家に帰ってからは毎日リプレイを食い入るように見、雑誌や新聞、スポーツ系のニュースのチェックも欠かしません。

 

そんな高校野球大ファンの私なのですが、どうしても忘れられない大会がありまして。

2009年、第91回全国高等学校野球選手権大会です。

選抜の時期なのに、夏の大会かよ!ってなるけど、第91回って聞くと、私にとってはこっちなんです。この大会が大好きなんです。

 

キャッチフレーズは、「 “夏”という名の宝物 」。それにふさわしく、多くのドラマがあった大会だったと思います。

 

印象的なのは、第1試合、如水館対高知が史上初、同一2試合連続降雨ノーゲーム。ノーゲームとなった2試合は、どちらも如水館がリードしていた試合でした。3度目の正直と挑んだゲームは、3-9で高知の勝利。「如水館、雨に泣く」の見出しがついたスポーツ紙が飛ぶように売れていましたね。

 

また、この年はプロ野球に進んだ有名選手が非常に多く、かつ現在も活躍している年でもあります。

主な選手を挙げるならば、
菊池雄星(花巻東→西武→シアトルマリナーズ)
山崎康明(帝京→亜細亜大→DeNA)
原口文仁(帝京→阪神)
吉田正尚(敦賀気比青山学院大オリックス)
堂林翔太(中京大中京→広島)
吉川大幾(PL学園→中日→巨人)
西浦直亨(天理→法政大→ヤクルト)
中村奨吾(天理→早大→ロッテ)
西川遥輝(智弁和歌山→日ハム)
秋山拓巳(西条→阪神)
大瀬良大地(長崎日大九州共立大→広島)
今宮健太(明豊→ソフトバンク)
と挙げればキリがありません。

 

この大会の、一番アツかった試合が決勝戦だと思っています。

8回裏終了時点で4-10、中京大中京のリード。中京大中京の勝利がほぼ確実視されたこの展開に沿うように、9回表はランナーなしで2死。しかもバッターは2ストライクと、「あと1球」コールが響き渡るような試合でした。

2ストライクと追い込まれていたバッターは、その後粘って四球。さらに盗塁で2塁進塁。その後2者連続適時打で6-10に追いつきます。その後の打者は今日10点を許している日本文理のピッチャー伊藤。適時打で2者を生還、8-10。さらに代打が初球をレフト前に飛ばし、ついに9-10。2死2Sからの追い上げともあり、球場が一番盛り上がった時だったのではないでしょうか。私自身も、テレビの前で震え上がりながら見ていたことを思い出します。

この試合の実況を担当した朝日放送テレビの小縣アナが残した
「つないだ!つないだ!日本文理の夏はまだ終らない!」
という実況は、今でも耳を離れません。

試合は、このあとサードライナーで9-10、中京大中京の勝利に終わりますが、日本文理ナインの輝かしい笑顔が忘れられない、私の中でのベストゲームです。

 

印象的な高校野球の試合は?と人に問うと、たいていの人が「2006年、早稲田実業駒大苫小牧の引き分け再試合」と答えます。平成高校球史に、深く刻まれた決勝戦であることは確かな事実です。

ですが、2009年の夏が、私の中では一番アツく、輝いていたと今でも思っています。毎年、新しい球史が生まれていくのはもちろんなのですが、やはり、私は2009年が忘れられないのです。

 

去年の第100回大会で「高校野球はすごい。高校球児はすごい。」という名言が生まれたように。
今年も、この先も、また新しい高校野球の歴史が作られ、輝かしい選抜・全国高校野球が繰り広げられることを期待します。

「引退」についてのおはなし

野球選手の引退、というイベントは、何度見てもドラマにあふれ、美しく、冷酷だなと思います。

小さい頃から、家族全員が野球好き(見る専門)なので、家のテレビは常に野球中継が流れていました。

私は東京2球団のファンでして、巨人とヤクルトを主に応援しているのですが、昨シーズンは村田選手(横浜→巨人→栃木GB)、松岡選手、山本選手(どちらもヤクルト)の引退試合を現地へ見に行きました。特に村田選手に関しては、本人が「まだやれる」と言い続けていた末の引退だっただけに、心が痛み、まだあの豪快なスイングが見たかったと思います。

 

そして飛び込んできた、2019年3月21日の、イチロー選手引退。

正直、まだやれるんじゃないか、もう少しできるんじゃないか、という気持ちと共に、そうか、ゆっくり休んでくれ、という気持ちがありまして。とても不思議な感覚で昨日のニュース速報を眺めていました。

イチロー選手といえば、私の中では“大リーガー”であり、オリックス時代の記憶はほぼありません。松井選手とほぼ同時期に渡米し、活躍し。大リーグ情報って大体この2人についての特集しか組まれてませんでしたよね。

 

昨日、生中継でというわけにはいきませんでしたが、ここ日本での大リーグ開幕戦、8回裏、ライトの守備についたイチロー選手が監督に指さされ、チェンジになるシーンは、録画で何度も見ました。いつもは淡々としたイチロー選手が、少し長く時間を取り、観客と同僚の選手たちと抱き合うシーンは、球史に遺るワンシーンだったと思います。

 

ただ、こうやって引退試合(イチロー選手の場合はそういう名目ではなかったけど、実質引退試合と決めていたんでしょう)を組んでもらえる選手がいかに少ないことか。

20代前半で戦力外通告を受け、泣く泣く野球の道を諦める選手。
故障に苦しみ、ブルペン投手としてでも球団に残りたいと裏方に回る選手。
30代に入って、稼ぎ頭として頑張らなければいけない時に、自由契約、トライアウトに挑む選手…。

毎年、野球ファンは10月、11月になると、クライマックスシリーズ日本シリーズのワクワクと共に、この辛い速報を受け止めなければなりません。

 

その過酷な運命と行く末は、それこそ毎年ドキュメンタリーになっていますね。
プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達』
お涙頂戴の番組であることは重々承知なのですが、毎年見てしまいます。
「こんなはずじゃなかった」
という選手たちの声が、いつも辛いし、耳に残ってしまうんですよね…。

 

イチロー選手の華々しい引退、日本で見られて良かったです。
『「イチロー」を引退する』と言った彼の言葉通り、「イチロー」から「鈴木一朗」になった彼の今後が楽しみです。