Departure's borderline

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壮大すぎる中村佳穂のMV -細田守監督『竜とそばかすの姫』を観てきた

 

だいぶご無沙汰しております。最近なんだかバタバタと追われておりまして、こちらは放置しておりました……。週1ペースで更新できるといいな~なんて思ってはいるのですが……。

 

さて、自他ともに認める映画苦手マンな私ですが、ひょんなきっかけで細田守監督の『竜とそばかすの姫』を観てきました。

細田守作品と言えば言わずもがな「サマーウォーズ」「時をかける少女」といった名作があるわけですが(実は私2作ともに観たことありません)、今回は一味違う作品になっていると聞いて……。主題歌が中村佳穂×millenniumparadeということもあり、音楽目当てに観てきました。

私は音楽目当てに観に行って、大満足の結果だったのですが、ネット上のレビューを観てみるとそうでもないらしく、せっかくなので私なりの感想を残しておこうと思います。

 


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高知の田舎町で父と暮らす17歳の高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、現実世界では心を閉ざしていた。ある日、親友に誘われたことをきっかけに“もうひとつの現実”と呼ばれるインターネット上の超巨大仮想空間〈U〉に「ベル」というアバターで参加することに。ずっと秘めてきた比類なき歌声で瞬く間に世界中から注目される歌姫となったすず(ベル)は、〈U〉の中で「竜」と呼ばれ恐れられている謎の存在に出逢う。凶暴ながらもどこか孤独な竜との出逢いをきっかけに、すずは自分の中にある迷いや弱さと向き合っていく――。歌が導く奇跡の出会いと成長の物語!

Amazonより引用

 

以下、若干ネタバレあります。

  1. 壮大すぎる中村佳穂のMVとして観たら最高
  2. 映画として観たらどうなのか
  3. まとめ

 

1.壮大すぎる中村佳穂のMVとして観たら最高

映画苦手マン私が「それでも観たい!」と思ったきっかけは、やはり主題歌。中村佳穂×millenniumparadeという組み合わせ、絶妙に相反する音楽と声が合わさったら、どういった作品になるんだろうと考えていました。

結果は予想をはるかに上回るものに。『竜とそばかすの姫』主題歌である『U』を聞いた途端、「これはすごい曲を出してきた」と思ったと同時に「細田作品の主題歌…?」ともなりました。


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怪しげなピチカート、絶妙なアクセントになるピアノ、裏で常に鳴り続ける乾いたパーカッション。ハスキーがちな中村佳穂の声の特徴もしっかりととらえた常田大希の音楽力は、さすがとしか言いようがありません。

YouTubeでこの曲を聴いたとき「ああ、映画館に観に行こう」と思いました。

 

この部分はネタバレになりますが、冒頭、主人公Belle(CV: 中村佳穂)が大きなクジラに乗って『U』を歌いながら登場したシーンは、全身鳥肌が立ちました。今までの細田作品から守られる繊細さ、そしてCGも利用したダイナミックさは新しい細田守作品の扉を開いたような感覚。「美しい」という言葉がぴったりの華やかさ……。

 


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劇中歌のうち、Belleが歌うものは
「歌よ」
「心のそばに」
「はなればなれの君へ」
の3つ。

「歌よ」は悲しみと迷いに満ち溢れ、「心のそばに」は人に寄り添うはかなさや大切さを体現、「はなればなれの君へ」はネット世界という近くて遠い、広い海の中にいるたった一人へ届けたいという、Belleの”中の人”すずの心情をうまく表しています。

タイトルからしてストレートなんだけど、中村佳穂のあの声を通して聞くBelleの声が素晴らしすぎる。『U』以外は完全初見だったのですが、歌詞選びも上手いなと感じます。中村佳穂の声って歌詞聞き取りやすいなと思うのは私だけでしょうか。

 

とにかく、中村佳穂が演じる”Belle”の一つの物語を歌でたどっていくこのストーリー、私は中村佳穂の壮大なMVとして受け取りました。結果大満足。観に行ってほんとうによかったと思っています。

 

2.映画として観たらどうなのか

 

大満足で帰ってきた私ですが、『竜とそばかすの姫』のレビューはさほどよろしくないことや、周りの観た人たちが口をそろえて「ストーリーは…」と言っているのを聞いていました。

正直私は映画に詳しいわけでもないですし、映画館に足を運ぶのも年に1~2回程度のことですから、詳しい批評をするわけではないのですが……。たしかに『美女と野獣』そっくりだなという部分と、「ストーリーとして端折ってる部分が多いな」の部分は感じました。

 

美女と野獣』に似ているはおそらく細田監督も意識してやっているところではあるのですが、ダンスシーン等「モロ」なところはちょっと多かったかも。

 

「端折り」については、以下ネタバレですが、

  • 「Belle」の外見はなぜルカちゃんに似てしまったのか(写真隣にいたから?すずがルカちゃんにあこがれているから?)
  • すずが合唱団に入る経緯
  • 夜行バスを降りてから東急駅に降り立つまで
  • ルカちゃんが「はなればなれの君へ」で急にサックスを吹いたのはなぜ(歌でもよかったと思う)
  • ペギースーの「私と同じ普通の女の子」の発言意図とオリジン
  • 恵くん智くんのその後

など…ちょっと端折られている気がしました。

このあたり、小説では補足されているのでしょうか? さっそく読んでみたいなと思っています。

 

3.まとめ

総じて私はいい作品だと思いました。今までの細田作品よりもハラハラドキドキがちょっと少ないけれど、それをカバーする楽曲。本当に楽曲が良すぎるんです。中村佳穂、好きだ~~~~。

 

余談ですが、私は中村佳穂、こちらのアルバムのイメージが強くて、「黄色」のイメージだったんです。Belleのイメージカラーはピンク。納得いかなかったのはここだけかもしれません。(黄色にしたらおそらくディズニーの『美女と野獣』そのものになってしまうという判断なのかなーと。)

あ、今サントラヘビロテしてます。これから観に行くならぜひ「中村佳穂の壮大なMV

を見に行くと思って」、どうぞ。最高です。