クリスマスは過ぎたけど、というよりもう2月だけれど。
有川浩先生の作品は、大きく分けると2種類だと思ってます。
「心が痛くなる恋愛モノ」と「少しだけ非日常な日常モノ」
前者は『ストーリーセラー』や『レインツリーの国』、『植物図鑑』が代表的かな。後者は『図書館戦争シリーズ』や『キケン』等々。『キャロリング』は、後者の作品ですね。
あらすじ
クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに──。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。
文庫版・裏表紙の内容紹介から引用しました。少し疑問が残るのが、「ささやかな奇跡の連鎖」という表現。読んでいて、そこまで奇跡の連鎖が起きているとは思えませんでした。
また、感動というよりも目まぐるしく変わっていく事情展開についていくのがやっとで、最後は急にきたなぁ…という印象でした。
総じて有川作品は大好きですが、今回はここがひっかかった。
春は桜色、姫は純白。
ネタバレは避けますが、柊子が大和に「ハルジオンとヒメジョオンの見分け方」を教えるシーンが頻繁に出てきます。
何度も柊子は大和に見分け方を説明するのですが、大和はすぐ忘れてしまう…。
ラストシーン、柊子は大和に「絶対に忘れない覚え方」を教えます。
「わたし、絶対忘れない覚え方考えた」
「どんな?」
すると柊子は歌うような口調で言った。
「春は桜色、姫は純白」
これを読んだとき、涙が溢れました。物語を最初から読んでいる人じゃないとわからない、やっと覚えられた二つの花。彼らは、この二つの花を大切にしながら物語が終わっても生きていくのだと思います。
…ただ、気になったのが、これマジ?ってこと。
ブログ「はやしのなか」さんの説明をご覧いただければと思うのですが、「ヒメ」には純白じゃないこともあるらしい。若干ショック。
…ま、まあフィクションだからね!
まとめ
有川作品は、すべての作品において安心して読めますね。どれをとってもハズレはないです。『キャロリング』も、少し泣きたくなるクリスマスの素敵なお話でした。
有川先生、幻冬舎さんと相性がいい気がする。
ただ、少しページ量は多いです。長編苦手な方にはおすすめしないかも(実際私も2回飽きが来た)。
昼のテレ朝が好きなら、是非読んでほしい1冊です。